観るものと、生活の日記

「OZ」(再演)

StudioLife「OZ」
★★★1/2

於:梅田芸術劇場 2005年4月2日13時 14列右ブロック/4月3日12時 19列センター

(東京公演 2005年3月3日~16日 仙台公演 3月19日 新潟公演 3月20日  名古屋公演 3月29日 大阪公演 3月31日~4月3日 福岡公演 4月5日 広島公演 4月6日)

原作:樹なつみ 脚本・演出:倉田淳


出演(大阪公演)

  GEONEO
1019 笠原浩夫 新納慎也(客演)
ムトー 岩*崎大 山本芳樹
フィリシア 舟見和利 及川健
ネイト 丸山智己(客演) 高根研一
1024 姜暢雄
リオン 曽世海児
ヴィアンカ 新納慎也(客演) 青木隆敏
サイレント軍兵士/1032 佐野孝治
カーク/メイスン博士 船戸慎士
スペンサー/フランコ 牧島進一
サイレント軍兵士/1033 篠田仁志
マッキーニ伍長/1021/1031/1036 下井顕太郎
サイレント軍兵士 他 大沼亮吉 荒木健太郎
ピーター/1027/1034 関戸博一 松本慎也
1025 三上俊 吉田隆太
1035 三上俊
少年リオン 深山洋貴
パツー/ケーシー/スカイルズ 山*崎康一
プライス/アラモスの娼婦/ルパート 石飛幸治
アラモスの老人/コービン博士 倉本徹
少佐/ピーターの父/ダントリー博士 藤原啓児
里親ムトー 河内喜一朗

*字違い





*感想*

○全体○


初演は観てなくて、原作も読まずに観に行きましたが、理解できました。 お話が面白かったです。 次々と見せ場がおとずれて最後の方はばたばたと意外な展開で楽しませる、というのはハリウッド映画っぽい。 中性的なロボット(?)が出てくる辺りが、少女漫画ならではでしょうね。 芝居としても、前知識を入れてこなかったので、却って素直に観られました。
演出が、「月の子」と似たところがいくらかありましたよね。 美術や照明も、時々はちょっと趣向を変えてほしかったりして。 初見なら関係ないですけどね。

3時間半、やはり長く感じました。特に後編が少し疲れてしまって。原作への思い入れなのか、出演者1人1人にある程度の見せ場をこしらえていたらそうなっちゃうのか、分からないけれども。これで2時間半くらいでまとめあげられていたら、もっと気に入れたかもしれません。

お笑いどころ、飛行機場面、ヴィアンカの登場場面、リオンの場面、 ラスト、などがすき。

笑いの場面では、やはり(?)石飛さんや山さきさんが活躍でしたね。 特に山さきさんって、すごい。入れ替わり立ち替わり色んな役で。 怪しげなケーシー、面白かったです。ムトーとの暗号も、山さきさん が考えたんでしょうか。それとも各々相談(笑)?
ヴィアンカの付き添い(?)役の人、ヤなやつとはいえ哀しい…。

細かいこととしては、ムトーが何回も危ない状態になって、その度手当てがかなり遅れるのが、毎回心配で(苦笑)。 高性能なロボットが傍にいながら治療機能はないのかぁ、などと。その辺りが、余分に長く感じたりして。
ラスト辺り、1019とムトーのやりとりでも「ムトー死にかけてるのにそんな長話を…」と内心焦ってました。何とかできる算段があるから、余裕を持って喋ってたんでしょうか。じゃないと「19、あんた"うれしい"って喜んでる場合では」と心の片隅でつっこむとこでした。

疑問だったのは、なぜ1019の方は、助かる道を選ばなかったの?ということ。 パメラとは融合したはずだし。ムトーの心はフィリシアにあるから?OZが作ったものだから?何か致命的なことを理解できませんでしたか私。 原作では、その辺りもっと分かりやすいんでしょうか。

○衣装など○

フィリシアの服装は、チラシ服のほうがお気に入りだったのですが。遊びに来てる訳じゃないので セーラーの方が妥当なんでしょうかね。ピンク色に二つのおさげが、よく 合っていました。大人になってからの白いツーピースもよかったです。
ピーターの、防寒着っぽい服装(ニット帽とか)も目立ってて、かわいい。
科学の進んだ未来とはいえ、人の服装はほとんど現代と同じかちょっと古いくらいなんですね。 特にアラモスの娼婦って二次大戦後の娼婦と同じ格好だ。群集に交じった娼婦は、 珍しい服装でした。特に及川さんの(娼婦?)って可愛らしくて子鬼のようでもあり、面白かった。

<2日マチネ NEOキャスト>

こちらのキャストは、 及川フィルの可愛さと芳樹ムトーのカッコよさ、が何よりの印象。
純粋でまっすぐで研究熱心なフィル。 うれしそうな早口の喋り方、素早く元気な動き、一生懸命な目線。ムトーを本当にすきそうだ。これまで女性役の及ちゃんには、あまりピンときてなかったのが、今回はよかったです。6年後の「ちょっと落ち着いたフィル」も素敵でした。

芳樹ムトーは、アクションが弱々しいので、最初のケンカでも「これはムトーが勝ってるようには見えない…」とか(ごめん)思っちゃいましたが。 それ以外では「そりゃフィリシアもヴィアンカも惚れるね」と納得いくカッコよさ。芳樹さんは「少年っぽく可愛い」とか「繊細で儚げ」というイメージだったので「カッコいい」は意外でした。ちゃんと、そうなれてしまうんですね。
2人がよく合っており、見ていて楽しかったです。

新納さんは、動きがきれいだしホントのロボット(別の呼び名があった気がするけど覚えてない)っぽくて、トボけた仕種が面白かったです。
フィリシアが、「私は一生研究に生きるんです」とか言った時にムトーが 笑うんだけど、はじめ横でスカーフかぶってる1019見て笑ってるのかと思いましたよ(笑)見てあげてほしかった。

毎回違うらしいケーシーとの暗号。最初「何?」と思ったけど 英語訛りで「ソレオヤツゥ?」「ゴハン!」って。遠足の相談ですか。 まじめにやってるのがおかしかった(笑)

1019が人の複雑な言動に「気持ちが分からない」とか悩んだり、 でも最期はほとんど人と同じようになる辺りとか、1024が 人への理解に微妙なズレがある辺りとか、すきです。

リオンが正体を現したり、最期を迎える辺り、上手くできてるなぁと思いました。 特にこの辺りは原作でも読んでみたい。 曽世リオンのマッドサイエンティストぶりや、ホントに子供に見えた深山少年リオン、どっちもよかったです。

松本ピーターも可愛らしかった。声も大きくしっかりしているし。ピーターってセリフとか 聞いてると14歳よりは幼い感じします。

泣かせどころ場面では、じん、とくることはあったけど涙こぼれるとこまでは いきませんでした。

1024とネイトの最期のシーンでは、心中するほどの強い気持ちがあった、 っていうのがイマイチ伝わってなくて、さらに24は19程人間化もして いなかったようなので、 心密かに「でもそれは、ロボット…」という思いも捨てきれず(すみません)。

ムトーと1019の最後も、1019がムトーを抱えあげる図はよかったけれど その時点ではムトーが死んじゃったのか、と思っているので 「もっと治療が早けりゃ・・・」とかそっちが気になったりして(ごめんなさい)。 で、涙までは出ませんでした。

ラストシーン。私「麦畑が実現するのかもしれない」と勝手に期待してたもんで「それは叶わなかったんだ」っていうのが少し悲しかった。 6年経って「同い年になった」っていうのはいいですね。

芝居のあとは、「フォトイベント」。舞台の上で、役柄のまま何人かずつ出てきては、ポーズをとったり動いて、去っていくという。 どのグループも割と早く去ってしまうので、続けてシャッターが切れないカメラでは、あまり撮れない。 芳樹ムトーはダンス的なアクションを披露し、客席から「カッコいい!」などの声が飛んでいました。
トークも少しあったんですよね。藤原さんと曽世さんが仕切りで、 姜さん、山本さん、及川さん…でしたか。大阪公演に関して一言挨拶。 姜さんは「地元なのに家族が誰もきてくれない」「会ったら初詣でも行こうかと思う」とかいうことを。 芳樹さんは「オヤツ?」と言った以外はあまり話すこともなかったらしい(笑)。及川さんも緊張したのか、止まってしまい、藤原おじさんに「いやぁか細い肩が震えてるのをみると抱きしめたくなりますね」とか言われて曽世さんに「本当なら、セクハラですよ」とかたしなめられていました。
最終的に全員で並んで、座長が「こういう(モデルみたいに歩いてポーズをとる)のは芝居の稽古でもすることで、私は170しか(しかってことはないだろう)身長がないけれど、団員は大体175くらいは…」と見渡して「若干、1名そうでもない人がいますが」と真ん中辺りを指し、及川さんがガンを飛ばしていました(笑)。結構、身長バラバラっぽいですけどね。




<3日マチネ GEOキャスト>

笠原1019は声の張り具合が、素敵でしたね。場合によって使い分けられて。 やはり存在感強かったです。
岩さきムトー、よかった。原作知らないけど役に合っている気しました。 腕っぷしも強そうだし、頑丈そうなので危険な目に遭っても、 多少安心して見ていられました。
19を処理しようとした後に、フィリシアが呼ぶ声を聞いての 「俺を見てそんなにうれしそうに笑わないでくれ!」という 言い回し方や、 19との最後の場面での様子、などは思わず泣けました。

今回のケーシーとの暗号。なかなか名前を思い出せない らしいにケーシーに、ムトーが「ブラック」というヒント与えて 「あぁ!ムトー!」って。「え?」という一瞬の(漢字変換の)間の後、大爆笑。

ヴィアンカは、新納さんだったんですね。実は舞台挨拶時まで、誰か分からず「この人上手くて面白いし、いいなぁ」とか思ってたらば。 逞しくて憎めない、美しいヴィアンカでした。 新納ヴィアンカ出ている間、ずっとウケました。 丸山ネイトに「このハゲ!」とか言うしね(笑)。観客も心密かに 「この人、なんで1人スキンヘッドなんだろ…」と思ってた人が 多かったんでしょう(多分)、大ウケ。

丸山さんも、上手かったですね。ちょっとコワモテで野性味ありました。

舟見フィリシアは、しっかりした少女。 「あなたがあなたである限りわたしはあなたのことがすきなんです」 「あなたは臆病なライオンよ!」教師のような説得力だ。

飛行機の場面は、センターブロック席が(昨日は右はしっこ) いいですね。フェリシアを脱出させる場面も見やすい。

こちらでは、ネイトと24の最期場面でも、うるうるっときちゃいました。 思いはあまり変わらないはずが、回数を重ねるごとに段々、気分が高まるものなのかもしれない。光とか音とかの効果もあって。

19とムトーの最後、ラストシーンもやはりうるうると涙こぼれたのでした。 19がムトーを抱きかかえてるところとか、特に。 見終わったあと「ああこれはNEO楽も、もう一度みたい!」と当日券売り場にかけよるほど (結局、諸事情で帰っちゃったんだけど) 気持ちが盛り上がっていました。 1回ずつ観た限りでは、NEOよりGEOの方が、より感動だったようです。

こちらは舞台挨拶。客演の紹介で座長に「妖艶なヴィアンカを演じた…」と して紹介された新納さん。「私の妖艶さが、StudioLifeに合っているんでしょう」と華やかに挨拶を。丸山さんも紹介されたはず。 他の人は挨拶とお辞儀のみでしたか。楽日なので、お花投げ。
その後、カーテンコール。再び舞台へ戻ってきた役者さん。曽世リオンが深山リオンを背負っていたり、舟見フィリシアが丸山ネイトと手をつなごうとして、極端に(笑)いやがられていました。
しかしソワレが近づいているせいでしょう。 1回きりで藤原さんが「みなさーん」と締めに入りました。自分の髪のことで「黒と白のメッシュです!」と言って笑いをとった後、 「この至福の時間を私達もみなさんといつまでも分け合いたいのですが、それではみなさんの膝の上に、次の公演のお客さんが座ることになってしまいます!」「それは大変興味深い現象ですが、制作側には、大変都合が悪い!」 ということで 大阪恒例(?)の「舞台の中心で愛を叫ぶ」がはじまりました。 ドリアン・グレイ時の大楽と同じく、舞台と客席からの、"I LOVE YOU"コールのかけあい。幸せ気分ですが、やはりカーテンコール1回だけ、というのは寂しかったですね。NEO楽では、予想どうりかなり盛り上がったみたいで、その場に居合わせなかったのは残念。



© Rakuten Group, Inc.